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「震災10年後に著した記事」

◆震災10年。「あの日、3.11から」人生を軌道修正し、明確な区切りとなった方も多いのではないでしょうか。かく言う私自身がそうなのです。私の人生は「あの日」を境に、鮮明に線引きがされています。その線は洗礼を受けたり、牧師になったりした境目よりも太い線で引かれています。思考も、生活も、価値観も変わりました。震災10年とは、被災地を思うだけでなく、自分を見つめ直す機会だということに改めて気づかされています。◆震災支援の現場で耳にしたのは、「生きる気力がなくて」「なぜあの人は死んで、自分が残されたのか」「死んだほうが楽だった」という声。正解がわかればよいのですが、ただ聞くことしかできません。そして「また伺います」と約束をし、次にも同じ言葉を聞きます。再会するたびに、そのことを繰り返してきたようにも思います。いまだに答えはわかりません。けれどひとつ言えるのは、人間はまさに「問われる」存在であり、その問いに「生き方で応える」のがまた人間なのだということです。災害の理由はわかりません。過去にも戻れません。ただ、確かなのは「あなたは、これからどのように生きますか」という問いです。◆ある本に「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えているんです」(平野啓一郎『マチネの終わりに』文藝春秋、2019年)という一文があります。亡くなったいのちも、失った思い出も、築き上げた財産も、それまでの日々も二度と戻ってはきません。しかし、そこからいかなる日々を編むかは、未来だけでなく、過去の自分や出来事を癒やしていく貴重な作業です。震災10年。被災地を忘れず。また自分を忘れない人生を編む。それが、震災とコロナ禍以降を生きる私たち人間への投げかけです。

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