「礼拝式順の意味と英訳」(その8)
- 大塚 史明 牧師
- 5月11日
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前回は聖書朗読(Scripture reading)のさわりを紹介しました。おおよそ教会は中世までラテン語聖書(ウルガタ聖書、紀元405年ヒエロニムスにより完成)を公のものとして重用していました。その最初期は、ラテン語といえば多くの人が理解できる言語でしたが、次第に使われなくなり、教会の教職者しか扱えない言語となっていきました。実に、中世には滅びかけた言語とも言われています。そのような中、1381年にジョン・ウィクリフが聖書を英語に訳しました。彼が英訳聖書の必要を感じたのは、権威主義になっている当時の教会に疑問をもったからでした。聖書は教皇や聖職者、修道院だけのものではなく、人々の救いのためのものだと主張し、その働きに心血を注ぎました。今は、彼の働きは「ウィクリフ聖書翻訳協会」に引き継がれ、すべての民族の言語に聖書が翻訳される目的を遂行中です。この同盟教団からもウィクリフに宣教師を派遣していました。彼らは、現地へ行き、人々の中に住み、現地語を習得し、現地の人と翻訳作業を始めます。中には文字の文化を持たない部族も少なくないため、文字表記から取りかかるケースもあります。聖書がわかる言語で読めるのは、多く人の犠牲と働きのバトンが渡され、手元にあることを覚えたいものです。
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